世界遺産暫定リスト追加選考の結果について

文化庁は文化審議会世界文化遺産特別委員会の調査審議を得て、2008年9月26日に世界遺産暫定リストの追加選考結果を発表した。

詳しくはHP参照
我が国の世界遺産暫定一覧表への文化資産の追加記載に係る調査・審議の結果について
別紙8 世界遺産暫定一覧表候補の文化資産

昨年末に地方公共団体より提案書の公募を受付た32件より「世界遺産暫定リスト」に追加選考されたのは下記の5件。

1.「北海道・北東北の縄文遺跡群」
2.「金と銀の島、佐渡-鉱山とその文化-」
3.「百舌鳥・古市古墳群-仁徳陵古墳をはじめとする巨大古墳群-」
4.「九州・山口の近代化産業遺産群-非西洋世界における近代化の先駆け」
5.「宗像・沖ノ島と関連遺産群」

但し、これらについても、今回の提案書に示された内容では、世界遺産にふさわしい文化資産として国際的な評価を得るには不十分とし、相当程度の内容の見直しと諸条件の整備を付加している。

また今回、選考されなかった資産について、文化庁では「カテゴリーⅠa」「カテゴリーⅠb」「カテゴリーⅡ」に3分類してそれぞれ評価。特にカテゴリⅠについては、調査研究などの作業の進捗状況など課題を提示したうえで、将来的な候補となり得るか否かについて十分に検討することを地方公共団体に求めた。

「善光寺と門前町」の場合、「カテゴリーⅠb」として評価され、提案地方公共団体を中心に、当面、主題に関する学術的な調査研究を十分に行い、「近世の社寺とその門前町関連の文化資産」として一定の方向性が見えた段階で、登録の準備を進めるべきものとしている。

総体的な評価は、「善光寺境内とその門前に形成された門前町に、仏堂をはじめ、宿坊、仲見世、商家等の歴史的な建造物群が多く遺存する資産」としながら「民衆に広く浸透した善光寺信仰に基づき、これらが庶民に開かれた独特の都市景観を形成してきたことを示す資産として、価値は高い」としている。
今後の課題として下記の指摘がなされている。

1.世界史的・国際的な観点から、寺社とその門前町関連の文化資産の代表例・典型例として、本資産が顕著な普遍的価値を持つことの証明が不十分である。
2.近世の寺社とその門前町関連の文化遺産について比較研究を進めることにより、本資産が顕著な普遍的価値を持つか否かについて十分に検討することが必要である。
3.国内外の寺社とその門前町との詳細な比較研究を行い、我が国の寺社と門前町関連の文化資産の世界史的・国際的な位置付けについて明らかにするとともに、本資産がその代表例・典型例となり得るか否かについて検討する観点が必要である。
4.上記の検討と並行して、境内とその周辺の都市街区を構成する建造物等の真実性、及び街路・街区等から成る資産全体の完全性の観点から、主題を成す門前町の範囲・保全状況について検討することが必要である。
5.文化財としての保護が十分ではないものについては、指定・選定又は追加指定が必要である。
今後の展望として、「善光寺と門前町」の世界遺産登録への道は狭き門とはなったものの、将来的な記載の候補となり得るか否かについてその可能性が残されたことは意義深いものと考えられる。すすめる会としては、これまでの活動の発展的な継続と、文化的努力を積み重ねていくことで、善光寺を中心とした長野市の将来像や世界遺産運動の在り方を追求していきたいと考えます。