2008年5月28日、すすめる会は加藤会長、鷲澤長野市長、若麻績事務総長ら約20人で、文部科学省および文化庁を訪問し、渡海紀三朗文部科学相や青木保文化庁長官らと懇談、世界遺産暫定リスト追加選考に向けて「善光寺と門前町」のアピールを行った。
この日は、小坂憲次衆院議員、宮本忠長専門委員、土本俊和専門委員らも参加。市教育委員会が設置した調査委員会の研究調査の資料などを基に、善光寺と門前町の普遍的価値、特に、本堂の平面構成が縦長であることや、度重なる火災などで再建を繰り返しながら発展的に変容して築かれた民衆を受け入れる寺と町の構造、宿坊群の質の高い木造建築物の集積度の高さなどについてその価値を説明した。渡海文科相からは「門前町としてこれだけまとまった場所は他にはない」「個人的な趣味としては、そういう価値はあると思う」と理解を示す一方で、「平泉の文化遺産」(岩手県)に対し、ユネスコの諮問機関イコモスが登録の延期を勧告したことに触れ、「そのハードルは厳しい」ことも指摘された。
また青木文化庁長官からは「世界的になかなか仏教への理解が得られにくい」「仏教国が連携して仏教の普遍性を訴える必要がある」と登録に向けた課題を示した。また同席した高塩至文化庁次長からは、「地域的な広がりや文化的な結びつきは、その価値を絞り込み特化しないとその関連性が希薄になり説明しにくい」「文化的広がりやつながりは意識した方がよいがまとまりは必要」とし、近年の世界遺産登録に向けた傾向として広域化やネットワーク化が図られていることについて限界があることを示した。文化庁では「平泉」の登録延期勧告を受けて、7月にカナダで開かれる世界遺産委員会までに「平泉」の登録に向けた対策を全力で行う姿勢。当初8月に予定していた国内の暫定リスト追加選考にあたっては、「平泉」の可否と世界的な登録の動向を考慮しながら選考をする方針で、その審査を秋に延期することを明らかにした。(松橋寿明副幹事長)